アーキテクチャとクラウド 情報による空間の変容
コンピュータのシステムやプログラム、インターネットのサービス、人間をコントロールする環境管理型の技術、社会やモノの構造・深層、そしてそれらの設計などを意味し、近年、多様な場面で使われている「アーキテクチャ」。また、多様な展開をしているGoogleや、インターネットに常時接続可能な環境がインフラストラクチャーとして整備された今「クラウド」と呼ばれるネットワークのあり方が現実化している。クラウドによる変革は、かつての電力によるそれにたとえられ、社会や産業の構造、都市や国家のあり方を変えるだろうとも言われている。情報環境のアンビエント化・インフラ化が、地球規模でスピーディに進行し、生活やコミュニケーションのあり方、内面の領域にまで深く関わりつつある中で、建築・都市・空間はどう変容していくのか。それぞれを専門とした著者による、対談・インタビュー・リサーチなどを収録。
■目次
・原広司×池上高志
生物メタファーではない抽象的な生命
内容と表現/構造とエフェクト
特異点の現象
風と共にある建築/サウンドスケープ
均質空間・ガルダイア・離散的集落
愛されるシステム
生命の履歴
建築の倫理・科学の倫理とアーキテクチャ
・吉村靖孝×塚本由晴
新世代情報アーキテクチャの空間と実空間
建築におけるクラウド
地域の時間・地域の発見
「パブリック」と社会設計
今再び様式と総体性
工学主義とプラグマティズム
クライアント固有の歴史
文化人類学的な知性が蓄積された建築
建築の生態系
ヴァナキュラー建築のあり様
・柄沢祐輔×掬矢吉水
均質空間と離散空間
Google的一望性
地図と認知、非ユークリッド的なユークリッド空間
分裂的自己と内部観測
離散空間の経験
アルゴリズム建築の美学の可能性
ネットワーク構造の編み換え
・森川嘉一郎
「趣味」のアーカイブを目指して
人の流れと界隈
ウェブと現実の都市の流動性
・藤村龍至+東洋大学藤村研究室+東京理科大学藤村ユニット
「THE 2.0 CITY」
検索可能性=図式的明瞭性/遭遇可能性=空間的刺激
ユビキタス/レガシーシステム
スプローリング/シュリンキング
トップダウン/クラウド
・大山エンリコイサム×南後由和
都市空間と情報空間の一元化
ハブとリンク/タギング
リンクの動作と痕跡
都市論的・社会学的空間読解
物理的レイアウトの操作・転用
アーキテクチャによるアウトプットの変容
進行形のグラジェントマップ
コンテクストの観察と改編
アーキテクチャの把握、表層との架橋
「顔」と認証/匿名性と「自由」
写真・構成:浦部裕紀
著者:原広司、池上高志、吉村靖孝、塚本由晴、柄沢祐輔、掬矢吉水、森川嘉一郎、藤村龍至+東洋大学藤村研究室+東京理科大学藤村ユニット、大山エンリコイサム、南後由和、浦部裕紀
出版社:millegraph
サイズ:B5
ページ数:111
発行年:2010.10
