
日本建築の擬 Fake Designs of Japanese Architecture
「Holz Bau」(2020)、「ex-dreams」(2023)に続く、ガデン出版のbau kunstシリーズの第3作である。福島加津也+冨永祥子建築設計事務所は、ガデン出版を主宰してドイツとアメリカを旅した後に、いよいよ日本建築をリサーチする。主な対象は、これまでの近代建築から大きく変わって数百年前の建築である。
このリサーチは、中世以降の日本建築の構造と空間が調和しているように見えながら、実はそのように見せているのではないか、という類推から始まった。異なる性質が重なり合う「擬(なぞら)える」関係は、「日本建築の擬」としてこの本の主題になった。
内容が多様で複雑なため、語り口はどうしても類推的になり、個人的な記憶と社会的な記録の間にたどり着いた。
この本は、歴史の正しい答えを求める実証論ではなく、歴史をどのように引き継ぐのかという実践論となる。
■目次
第一章 再録
『The Architecture of Japan』 アーサー・ドレクスラー
第二章 調査
調査概要
第一節 原型
1 太山寺本堂
2 長弓寺本堂
3 浄土寺浄土堂
コラム1 構造解析 太山寺本堂 長弓寺本堂 浄土寺浄土堂
第二節 軸組
4 興隆寺本堂
5 明王院本堂
6 金剛寺金堂
7 渡部家住宅
8 江川家住宅
漫画1 「長弓寺本堂」
コラム2 軸組を擬えた現代建築 東光園 島澤先生の家
第三節 形態
9 長寿寺本堂
10 教王護国寺蓮華門
11 大善寺本堂
12 普門寺三重塔
13 本興寺開山堂
漫画2 「本興寺開山堂」
コラム3 形態を擬えた現代建築
旧大阪歌舞伎座 吉屋信子邸
第三章 論考
論考 調和と調停 福島加津也
鼎談1 現代から日本建築を見る 光井渉×福島加津也、冨永祥子、山本瑠以
鼎談2 仮説としての歴史 難波和彦×福島加津也、冨永祥子、山本瑠以
鼎談3 構造と美学をめぐる旅 多田脩二×福島加津也、冨永祥子、山本瑠以
著者:福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎、山本瑠以
出版社:ガデン出版
サイズ:A4変
ページ数:288
発行年:2025.05