村野藤吾研究 第01号 2010年
京都工芸繊維大学美術工芸資料館では、2010年より新たに研究論文集「村野藤吾研究」を発行することとなった。本書はその第1号である。本号は、近年学会などで発表した論文の再録が多いが、それらは一般の目に触れにくいものであるため、書き下ろしの論考やインタビューを加えて再編集することで、「村野藤吾の設計研究会」の活動成果として発表するものである。「村野藤吾の図面資料」と「村野藤吾の未発表作品」の2つのテーマを設けている。前者では、京都工芸繊維大学美術工芸資料館への村野の図面資料の寄贈の経緯や整理方法についての論考を掲載している。後者では、これまで村野の作品集などに一切収録されておらず、村野の作品として建設されたことが全く知られていなかったいくつかの建築物について、図面資料を元に建設の経緯や特徴、背景などを明らかにした論考を掲載している。合わせて関連する図面資料も多数掲載している。未発表作品には戦時下に設計・建設されたものが多く、知られざる村野の戦時下の建築活動の一端を垣間見ることができる。
■目次
創刊にあたって 石田潤一郎
第1部:村野藤吾の図面資料
・村野藤吾建築図面資料の収蔵の経緯と今後の活用 松隈 洋
・京都工芸繊維大学美術工芸資料館が所蔵する村野藤吾の設計図面
アーカイブ整備方法と資料の特徴について 竹内次男・福原和則・石田潤一郎
・インタビュー:吉田龍彦氏に聞く 編集者から見た村野藤吾
第2部:村野藤吾の未発表作品
・三重海軍航空隊施設群 太平洋戦争下で建設された予科練施設
平井直樹・石田潤一郎・笠原一人
・日本聖公会大阪聖ヤコブ教会 戦時下のパトロン湯浅伸銅の依頼による 笠原一人
・静岡歌舞伎座 太平洋戦争下の短命作品 笠原一人
・合屋小児科病院 個人事務所開設前の未発表作品 平井直樹
・夙川小学校講堂 その半世紀に渡る建築生命 神戸嘉也
著者:村野藤吾の設計研究会
出版社:京都工芸繊維大学
サイズ:A4
ページ数:74
発行年:2010.04
