村野藤吾研究 第03号 2014年
村野藤吾の代表的な住宅作品といえば13作品と、その建築家としての活動期間や作品数に比べて、数が少ないように思われる。しかし、京都工芸繊維大学美術工芸資料館に移管された設計図には実は100を超える住宅作品が含まれていた。これはひとえに施主のプライバシーに配慮したためその多くの住宅は未発表とされていたのである。村野藤吾の設計研究会において2011年来「村野藤吾のアンビルド・非公表作品の解明」を進めるなかで、村野藤吾の住宅が邸宅というジャンルにとどまらず、小住宅、建売住宅、社宅、集合住宅と広がりをもっていたことが確認された。そうした村野藤吾の住宅の図面を精査し、その背景を調査した論考が本書には収められている。
■目次
・刊行にあたって 石田潤一郎
・「ハウスドクター」としての村野藤吾 石田潤一郎
・武智(鉄二氏)邸 1934を巡って 角田暁治・竹内次男
・川崎航空機工業岐阜工場の社宅 長屋に刻まれた村野流 平井直樹・石田潤一郎
・湯浅邸 戦時下のパトロン湯浅譲とその住宅 笠原一人
・村野藤吾自邸 長い時間と労力を費やした「私の作品」 福原和則
・工藤邸 工藤友恵の「終の住処」について 西島業士
・高地県知事公舎 小谷川勝
・村野藤吾の設計による建売住宅
近畿日本鉄道および野村不動産による住宅展示即売会について 本嶋正太・石田潤一郎
・1950-70年代の村野事務所 インタビュー 保科幸一氏
著者:
出版社:村野藤吾の設計研究会
サイズ:A4
ページ数:92
発行年:2014.03
