ホーム CASE STUDY HOUSES ケース・スタディ・ハウス完全版 THE COMPLETE CSH PROGRAM 1945-1966

CASE STUDY HOUSES ケース・スタディ・ハウス完全版 THE COMPLETE CSH PROGRAM 1945-1966

セール価格 22,000円(税込)

テキスト英語・仏語・独語

タッシェンが贈る、アメリカモダニズム建築における革新的な試み「ケース・スタディ・ハウス」プロジェクト(1945-1966)の決定版。CSH#1-28とCSA#1-2の36件に関する資料を一件につき10~20ページのボリュームで収録している。内容は雑誌用に撮影された写真(国内外にこのプロジェクトを知らしめたシュルマンの建築写真など)、青写真、構想時のドローイング、透視図、施工過程をレポートした雑誌記事からの抜粋など多岐にわたる。

ケース・スタディ・ハウスとは1945年当時のビジュアルアーツ全般における最先端の情報を発信していた「アーツ&アーキテクチャ-」誌の編集長ジョン・エンテンザ氏の呼びかけによって始められた、アメリカ建築史に最も貢献度が高いといわれる建設プロジェクトである。第2次世界大戦後の住宅供給不足の状況から来るべき建設ブームを予感したエンテンザ氏は低コストで大量生産(鋼やガラスの構成要素を組みたてるだけ)の建材を用いた複製可能な近代住宅のプロトタイプの制作を、最も活力のみなぎる世代の建築家に呼びかけた。36の箱型建築計画は住宅建築に近代デザインを持ち込むことによって、旧態依然であった建築業者と一般の生活者の意識を一新したいという、彼の大望の縮図だったともいえる。

そもそも顔の見えるクライアント向けに工場や製造業者からの寄付で集められた建材を用いた低コストの住宅を供給するというのが、エンテンザ氏の思い描いたゴールだったが、経済的な理由で建設されずに終わったケース、イームズ夫妻やエンテンザ氏みずからがクライアントとなったケースもあり、当時の苦労がうかがえる。ノイトラの代表作となるベイリーハウスの後に、計画のみとなった彼の設計#21もそのひとつであろう。

しかしそれと同時に「アーツ&アーキテクチャ-」誌を軸として国内外に多大な影響力のあるエンテンザ氏に選出された建築家は世界的に名を馳せることを約束されたようなものでもあった。つまりはリチャード・ノイトラ、チャールズ&レイ・イームズ、エーロ・サリーネン、クレイグ・エルウッド、ピエール・コーニッグ、ローカルで言えばホイットニー・R・スミス、ロドニー・ウォーカー等、錚々たる顔ぶれが揃った訳がそこであろう。そんな中でエンテンザ氏の作成した名簿にはR.M.シンドラーのような当時を代表する建築家の名前が欠けているといった一面もあったりする。

本書は建築史上まれにみる空前絶後の建設プロジェクトを包括的にまとめあげ、アメリカ建築のアイデンティティと呼ばれるほどの存在となったケース・スタディ・ハウスのひとつひとつを細部にまで忠実に再現した資料をとおしてビジュアルで確認するといった用途にもかなっている。また、現在では入手することが困難とされる「アーツ&アーキテクチャ-」誌だが、本書はこのプロジェクトを告知した1945年の一月号の紙面をはじめ、このプロジェクトに言及する「アーツ&アーキテクチャ-」誌の記事のほとんどが抜粋されているのも魅力のひとつである。

著者:Elizabeth A.T.Smith、Julius Shulman、Peter Goessel

出版社:TASCHEN

サイズ:320×400

ページ数:440

発行年:2002.04