sins + other spatial relatives

テキスト英語

建築を機械だとしたのはル・コルビュジェであるが、建築を装置として扱ったのはアーキグラムであり、ピーター・クックである。そのピーター・クック率いるロンドン大学バートレット校で、クリスティーヌ・ホーレイとともに今もっともアクティブなユニットを持つシージェイ・リム初の作品集である。彼のプロジェクトは正しくアークグラムのこどものものと呼ぶに相応しく、装置的であり、グラフィカルであり、物語があって、そしてファニーである。アーキグラムより現代的なのは、より社会問題や身体に関心があることであろうか。ほとんど全てのページが美しい密度のあるドローイングで溢れている。3D以外の線画は一見コンピューター・ドローイングのようであが、驚くなかれ全てハンド・ドローイングとのこと。ロンドン・アヴァンギャルドは今も健在であり、その一つの極をなすのが、シージェイ・リムなのだ。コンセプトのナラティブを丁寧に読み込むもよし、それが面倒な人にもドローイングを楽しめる作りとなっている。この本は今年の初めのロンドンでの彼のワン・マン・ショーに合せて企画され、プロジェクトはそのためにすべて新しく作られ、その上この本のレイアウト、出版まで、彼とそのチーム、スタジオ8の手によって実現された。

★書評by今村創平(2001.04.25)